今日から実践できる2型糖尿病予防法3選

予防

皆さんこんにちは、鈴木智成(名もなき医師🧑‍⚕️)です。今回のテーマは2型糖尿病です。ブログを始めたての頃に糖尿病については一度触れているのですが、初めて間もない頃だったのでもう一度取り扱います🔥

糖尿病は本当に怖い病気で、発症しても最初の頃は症状もないので放置されやすい病気でもありますが、症状が出始めると一気に人生が狂ってしまうのでこの機会にぜひ学んでおきましょう✨

2型糖尿病とは?

最初はインスリンの抵抗性が高くなる

糖尿病とは名前の通り血糖値が高くなり、尿から糖が出てくる病気なのですが、その背景にインスリンというホルモンが関係しています。

我々が食事をすると糖を腸管から血中に吸収して血糖値が上がります。インスリンはその糖をエネルギーとして利用するために細胞内に取り込むホルモンです。

2型糖尿病は生活習慣病と言われており、喫煙や運動不足でインスリンの抵抗性が高くなってしまい、糖を細胞内に取り込めなくなります。

不健康なすい臓のキャラクター

インスリンの抵抗性が高くなるとはどういうことかというと、体(膵臓)はインスリンを頑張って出しているのに、筋肉や各細胞でのインスリンの効き目が悪くなるという状態です。

最後はインスリンが出なくなる

インスリンを膵臓が頑張って出し続けるという状態が何年も続くと膵臓が疲弊してインスリンを出す力が徐々に弱っていきます。

インスリンが出ないと糖を細胞内に取り込めなくなりエネルギー源に出来なくなりますし、血糖値がものすごく上がっていくことになります💦

膵臓がインスリンを自分で出せなくなるまで病気が進行してしまうとインスリンの注射をしないと生きていけなくなります。

2型糖尿病とは?

インスリンの話がメインになりましたが、結局2型糖尿病とはインスリンの効きが悪くなり、血糖値が持続的に高いことで全身の血管が動脈硬化していきます。

まずは目や腎臓、神経など細い動脈が硬化し、ゆくゆくは心筋梗塞や脳卒中なども発症します😢

また糖尿病になってもコーラなど甘い飲料水を飲みまくっていると血糖値が上がりすぎて高血糖クライシス(糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群)という病態になり、極度の脱水状態・意識障害、場合によっては死に至ることもあります😱

ちなみに1型糖尿病は自己免疫や遺伝子の異常であったりするので生活習慣病とは異なります。

2型糖尿病の恐ろしさ

足関節の骨折をした糖尿病の人と糖尿病でない人

足の外くるぶしと内くるぶしを骨折した2人が偶然同じ日に僕のところに受診されました。

本当に似たような骨折で1人は30歳の喫煙してはいますが健康な男性、もう1人は60歳でこちらも喫煙者でかつ2型糖尿病の既往のある男性でした。

そして同じ日に同じように外くるぶしにプレート固定、内くるぶしにスクリュー固定の手術を行いました。どちらも同じように手術自体はうまくいきました。

さて、ここで皆さんに一度自分の外くるぶしを触って欲しいのですが、外くるぶしは皮膚が薄いところで骨が触れるはずです。プレートで固定することが多いのですが、ここは皮膚が薄く出っ張りが気になるという方が多くいらっしゃいます。

30歳の男性の方は手術後2週間もすれば皮膚はほぼ治っており、その時点でお風呂に入ることを許可しました。

一方60歳の糖尿病の男性は傷がグチュグチュして治りが悪く、手術後3か月しても潰瘍がある状態でした。

一体なぜこんなに差が出たのでしょうか?

糖尿病では毛細血管の機能が低下しそもそも傷が治りにくく、コラーゲンも劣化するため傷が治る時にできる瘢痕の質も低下します。

さらに高血糖(糖は細菌の餌)で皮膚バリアが弱くなるので感染も生じやすくなります。

足は体の中心部から遠いので血管が細くより血流が悪いためこのような差が出たのだと思われます😳

ちなみにお二人とも手術後8か月くらいでプレートを抜去する手術も行ったのですが、30歳の方は骨も傷も綺麗に治っていますが、60歳の糖尿病患者は骨はついているのですが、プレートを抜いたところがレントゲンでモヤモヤしており、傷も滲出液が出て軽度の感染もありそうです🤨

禁煙指導も行っていましたが、中々難しく糖尿病患者の60歳はもう少し傷が治るまで時間がかかりそうです💦

年齢的な差はありますが、若い方も喫煙を続けているといずれ糖尿病を発症する可能性はあるかもしれませんね。

糖尿病は痛くない

糖尿病のもう一つ恐ろしいのは痛みが出ないということです。先ほどの60歳の糖尿病患者さんは術後すぐから痛みは全くありませんでした。

これは糖尿病性神経障害といって糖尿病になって5年くらい経つと感覚神経が障害されてきます。痛みに鈍感になるため傷の治りが悪くても患者本人が気にしなくなってしまうのです。

それは痛みがなければ治療したいという気持ちが薄れるのも頷けます。

しかしここが糖尿病の怖いところで痛みがないうちに血管が蝕まれて足が切断になってしまったり、痛みがないのに心筋梗塞になってしまったりします。

痛みは人体の危険信号なのにそれを感じ取れないというのは致命的なのです😱

ちなみに足が切断になるような人は相当血管にガタを来しており、切断した傷もまた治りにくいという絶望的な悪循環に陥るのです😥

今日から実践できる糖尿病予防法3選

ここまでで糖尿病の恐ろしさはわかって頂けたと思います。では医学的に2型糖尿病にならないための予防方法を解説していきたいと思います!

体重7%減+週150分の運動

糖尿病を予防する上で最もといって良いほど大切なのは体重管理と運動です。

New England Journalに掲載されている論文で空腹時と糖負荷後の血糖値が高い約3200人のアメリカ人を対象とした介入研究があります。*参考文献【1】

プラセボ(何もしない)群、メトホルミンという糖尿病の薬850mgを1日2回内服した群、週に150分以上運動して体重を少なくとも7%減らした群に分けられています。

追跡期間で最も糖尿病の発症を減少させたのは運動を頑張って体重を減らした群で58%、メトホルミンを内服した群は31%でした。

ちなみにメトホルミン1日1700mgというのは日本人にはまあまあ多い量になります😳

つまり薬に頼るよりも自分で頑張って運動して理想の体型に持っていく方が糖尿病を予防できるということです✨

メタボリック・肥満のイラスト「ジョギング・男の子」

生活習慣の改善を推奨している名もなき医師としては嬉しい研究です。体重7%というのは50kgの人なら3.5kg、70kgの人で4.9kgになりますので意外と現実的な数字かと思います✌️

そうはいっても体重減らしたり運動したりする習慣は中々難しいという方はこれらの記事を参考にして頑張ってみてください。1日1食を現役医師が実践する理由とその効果 マラソン初心者が練習2ヶ月でサブ3.5達成!?現役医師が語るフルマラソンvs5kmラン!健康にいいのはどっち?

禁煙する

2型糖尿病を予防する上でもう一つ避けては通れないのが禁煙です🚭

2型糖尿病と喫煙の関係を調べたメタ分析があります。*参考文献【2】

喫煙者全体では糖尿病発症リスクが約44%上昇で、1日に20本以上喫煙する人はなんと約61%も発症リスクが上昇していました。このメタ分析だけでなくWHOでも喫煙は2型糖尿病の原因と世界的にみても考えは一致しています。

なので皆さんが喫煙しているなら糖尿病になりたくなければ今すぐ禁煙することです‼️ちなみに先ほどのメタ解析では元喫煙者は発症リスクの上昇は約23%に抑えられるとのことでした。

禁煙に成功した男性のイラスト

禁煙するのは相当な覚悟が必要で中々自分の意志だけでは達成できない場合も多々ありますのでその場合は禁煙外来に通うのも一つの手段です。

こちらの記事も参考にしてみてください。健康を維持するために絶対にすべきこと1選!

その他の手段

上記の二つに比較して他の手段は効果が薄いので本気で予防しようと思えばまずは上の二つを実践してください。手短に他の方法をいくつか紹介しておきます。

・砂糖入りの飲み物は避けて水を飲む

・長時間の座位はインスリン感受性を落とすので30分に1回は立って軽く歩くか体操する

・リスク因子の多い人は定期的に検査を受けてチェックする

まとめ

今回は2型糖尿病の成り立ちと恐ろしさ、最後にその予防方法をご紹介致しました。やはり自己管理が大切ですね🎶もう既に糖尿病だという方も生活習慣の改善は大切ですので実践してみてください✨

参考文献:【1】Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin

【2】Active Smoking and the Risk of Type 2 DiabetesA Systematic Review and Meta-analysis

最終更新日:2025年8月31日

本記事の内容は医療専門職としての知見に基づいていますが、すべての読者に当てはまるわけではありません。個別の診断や治療は、直接の診察に基づいて行われるべきです。

鈴木智成(名もなき医師):日本救急医学会専門医 現在は整形外科に所属し救急と両立しながら奮闘中🔥

所属学会:日本救急医学会 日本整形外科学会 日本整形外傷学会

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