皆さんこんにちは、名もなき医師です🧑⚕️皆さんは熱中症になったことはありますか?
最近めっちゃ暑いですよね😳僕はつい最近テニスをしたのですが夜なのに汗でびちゃびちゃになり、グリップの部分が汗まみれでスイングをするとラケットが抜けて飛んでいきそうになりました🎾🏸
毎年熱中症で救急搬送されてくる人は後を立ちません。高齢者も多いですが若い人も要注意です👀20代でもⅢ度(重症)の熱中症になって集中治療室で生死を彷徨うこともあります💦

それでは熱中症の基礎から今年の猛暑を乗り切る方法まで早速見ていきましょう!
熱中症の症状を知ろう
熱中症の症状は軽症から重症まで3段階に分けられています。
軽症(I度):めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り
中等症(II度):頭痛、嘔吐・吐き気、倦怠感、判断力低下
重症(III度):意識障害、けいれん、体温40℃以上、ショック、肝機能障害、腎障害
僕自身部活をしていた時はこむら返りや筋肉痛にはなったことは多々あり、これはI度の熱中症に相当します😳💦
周りの友人でも頭痛や吐き気などを伴うII度の熱中症まで経験している人もいましたね🤔
名もなき医師の経験
僕自身が1番ひどい熱中症を経験したのは大学生の頃にフロリダにテニス留学に行った時です🎾
フロリダは紫外線が強い上に練習がかなりきつくて水分摂取が追いつかず熱中症になってしまいました💦

身体のありとあらゆる筋肉がこむら返りになりました。首や肋骨の間の筋肉とか指先の筋肉といった普段つらない筋肉に至るまで全身つっている状態です😳
あんなに痛い時間が続いたのは人生で一度だけですが拷問のような3時間でした。
その間ずっとアメリカの理学療法士の学生の方が『君は脱水でミネラルも不足している状態だ』ということを繰り返し言い続けてくれました。
僕も医学生だったのでそれはわかってるんですよね🤣そしてこれを飲めと言ってくれたのがなんと大量の塩だったんです🤣
それをゲータレードというアメリカ版ポカリみたいなやつで流し込めっていわれるんですけど普通に飲む分には美味しいのですが、塩がめちゃくちゃ濃いんです😅
ってか塩溶かしすぎじゃね?待って待って待って!!!!!って感じでした😇
あと腕も動かないので哺乳瓶みたいに口に当ててもらって飲まされていました。
でも僕は口を開くのもしんどかったですし、無抵抗に口に塩を流し込まれてその度に苦しくて全身がつってしまうという地獄を味わいました🙄🤣
地味にゲータレードのペットボトルは日本の物より口径が大きいので咥えきれずにめちゃくちゃ溢れました🤣
結局看病してくれた方が理学療法士の学生だということは後で話してわかったことですが、最後は治った後に一緒に歩いてくれてかなり優しい方でした😊
もちろん好意であったことは理解していますが、ゲータレード塩地獄は今となっては良い思い出で、記憶から消すことは一生できないでしょう🤣
しかしこれだけの熱中症でも頭痛や嘔吐は全くありませんでした。倦怠感があったと捉えればII度の熱中症であったということにはなります。
ではⅢ度の熱中症とはいったいどんな代物なのでしょうか?😌
Ⅲ度熱中症とは?
僕が出会った最も重症な熱中症のお話をしましょう。20代の男性でしたが、9月に朝から走り続けて動けなくなり救急搬送されました。
救急搬送時の深部体温は42度、意識は朦朧としており、点滴を取ろうとしますが不穏状態で暴れて抑制出来ません💦
複数人で押さえて処置をしようとしましたが体格がいいので暴れると中々手がつけられません😳
結局そういう場合は仕方ないので麻酔で眠ってもらって人工呼吸器管理になります。そうした後に血管の中に管を入れて血管の中から上昇した体温を冷却し、さらに必要充分量の点滴を行います。

その患者は横紋筋融解症といって筋肉の細胞が壊れすぎて、血液検査で見たことないような筋肉の逸脱酵素の異常値を叩き出しました。横紋筋融解症がひどくなると腎臓が障害されてしまいます。この方も急性腎障害で尿が全く出なくなり血液透析管理となりました。
幸いこの患者は20代と若かったこともあり、3ヶ月程度で透析が必要なくなりました。しかしその間も免疫機能が低下して何回か感染症にかかりました😱
現在は普通の生活に復帰されていますが、若い頃に数ヶ月も病院で過ごすのは嫌だと思いますし、身体にも色々な管を入れた傷跡(中心静脈カテーテル、腸腰筋膿瘍のドレナージチューブ、透析用のカテーテル、動脈圧ライン等々)が残るのは避けたいですよね💦
皆さんも熱中症にはくれぐれも気をつけてください☀️
熱中症予防方法3選
では熱中症を予防するためにはいったいどんな対策をすれば良いのでしょうか?
現代医学のエビデンスに基づきながら解説していきますので気になる項目だけでも学んでいってください✨
水分補給は1日2〜3ℓ
流石に熱中症対策に水分補給するというのは常識ですよね?
ではいったいどれくらい水分を補給すれば良いのでしょうか?😳
WHO(世界保健機関)では1日に少なくとも2〜3ℓの水分補給、さらに1時間にコップ1杯の水を飲みましょうと言っています。WHO. Heat and health. 2021.
もちろん運動をして汗で水分やナトリウムを失った場合はその分さらに水分補給が必要です!
ポイントは『こまめな水分補給』です💧一気にペットボトル一本飲みほしても全て吸収出来るわけではありませんからね😌
十分な電解質補給をする
水分さえ摂取すれば熱中症を防げるわけではありません。汗と共にナトリウム(塩分)が失われるからです。
汗1ℓ辺り塩(Nacl)約2g喪失すると言われています。これに対して水のみ摂取してしまうと低ナトリウム血症になってしまいます💦(Evaluation and Treatment of Heat-Related Illnesses-AAFP)
上記のAAFPはアメリカの家庭医療学会で最新の知識をアップデートしてくれています。これによると優れたアスリートとそうでないアスリートでは約26倍もナトリウムの喪失量が違うようです🧐
優れたアスリートは汗3〜4ℓ辺り5mEqのナトリウム喪失、対して状態の悪いアスリートは1〜2ℓ辺り65mEqもナトリウムを喪失しているようです😳
多くの人は真ん中くらいに位置するでしょうから、汗1ℓ辺りのナトリウム喪失量は30〜35mEq程度、つまり塩約2gくらいというわけです。
よって夏の運動時に一般的に推奨される飲料水はスポーツドリンク(ナトリウム20〜25mEq/L)です✨
熱中症症状が出てしまった時は経口補水液(ナトリウム50-90mEq/L、カリウム20mEq/L)も有効です!
どうしても水が好きという方は運動する時は塩分や糖分の入ったタブレットを摂取するようにしましょう🎶
暑さは徐々に慣らそう
暑熱順化という言葉がありますが、暑い環境での適応能力を高めるために、数日から2週間程度かけて徐々に暑さに慣れる過程のことをいいます。
明るいところからいきなり暗いトンネルに入ったら目が慣れるまでに少し時間がかかりますよね?それと同じで普段冷房の環境下にいていきなり暑いところに出て運動をしたりすると身体が反応できません。
こちらもWHO “Heat and Health” 2021で最も重要な要素の一つと位置付けられており、特に高齢者や持病を持つ人には推奨されています😳
僕もこの間久々にテニスをしたら軽い熱中症の症状になってしまったので徐々に慣らす大切さを改めて思い知りました🤣
日中に運動するときはいきなり激しい運動を長時間するのではなく、軽い負荷から開始して徐々に運動時間や強度を増やすようにしましょう⚠️
まとめ
今回は熱中症の分類とその怖さについて解説し、熱中症予防方法をご紹介しました。結局は塩分チャージと水分補給かい!と思われてしまうかもしれませんが、熱中症の怖さと対策の大切さを知って頂ければ充分だと思っています✨
それではまたお会いしましょう。
本記事の内容は医療専門職としての知見に基づいていますが、すべての読者に当てはまるわけではありません。個別の診断や治療は、直接の診察に基づいて行われるべきです。
名もなき医師:日本救急医学会専門医 現在は整形外科に所属し救急と両立しながら奮闘中🔥
所属学会:日本救急医学会 日本整形外科学会 日本整形外傷学会
コメント