エコノミークラス症候群を予防しよう

予防

皆さんこんにちは、名もなき医師です👨‍⚕️今回のテーマはエコノミークラス症候群です。聞いたことあるよーという人もおられるかもしれません。

エコノミークラス症候群は重症だと死亡してしまうこともありますし、飛行機だけでなく、デスクワークや長距離を運転する人にとって他人事ではありません。

楽しいはずの旅行で発症して楽しめなくなったら嫌ですよね?🙄それではエコノミークラス症候群について学んでいきましょう✌️

エコノミークラス症候群とは?

エコノミークラス症候群のイラスト

エコノミークラス症候群とは医学的には深部静脈血栓症と肺塞栓症の一連の病態を指します。

飛行機のエコノミークラスで座位でいることで足から体幹に流れる静脈が屈曲し、さらに長時間不動であることにより、静脈に血栓という血の塊が出来てしまう病気です。

ホースの中を泥水(水だと詰まらないないので泥水にしました😅)が流れているところをイメージしてください。泥水は勢いよければホースが詰まることはありません。

しかしホースが曲がって(座位による足の屈曲)、水の勢いが弱まり(足を動かさないと筋肉による血管へのポンプ作用がありません)、さらに水の量が減ると(飛行機では水分不足かつ湿度が低いので脱水になることが多いです)詰まりそうな気がしませんか?😳

このように足の静脈が詰まると深部静脈血栓症です。

深部静脈血栓症では血栓で詰まった側の足が浮腫んだりふくらはぎの痛みなどの症状が出てきます。この静脈の塊が足で止まっていればまだ良いのですが、肺に飛んでしまうと息切れや胸痛、呼吸困難が生じます。ひどい場合には死亡してしまう怖い病態です

飛行機のエコノミークラスで発症しやすいというだけで車やバス、電車でも報告例があります。ちなみにビジネスクラスならどうか?という疑問を持たれる方もおられるかもしれません。

結論から言うとビジネスクラスがエコノミークラスより深部静脈血栓症や肺塞栓症の発症を有意に抑制したというエビデンスは現時点ではありません😳

ただ理論上はフルフラットシートで横になれると血流が保たれる可能性は高くなるとは思います。

またWHOは4時間以上必要とする車、電車、バス、飛行機などでエコノミークラス症候群のリスクが2倍になると言っています😌

エコノミークラス症候群はどんな人になりやすい?

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症、肺塞栓症)にはリスク因子が存在します。たくさん存在するのですが、リスクが高い順に並べてみたいと思います🫡

【リスク非常に高い】

過去に深部静脈血栓症または肺塞栓症を起こした人

活動性のがん(特に化学療法中や転移あり)

大手術後(特に骨盤や下肢の手術、最近の外傷) 下肢麻痺または長期臥床(寝たきり)状態

【リスク高い】

血液凝固異常(例:第V因子ライデン、プロトロンビン変異など)

妊娠後期および産褥期の女性

経口避妊薬(ピル)またはホルモン補充療法の使用者

BMI30以上の肥満者

高齢者(60歳以上)

【中等度のリスク】

長時間の座位保持(飛行機・車などで4時間以上の移動)

脱水傾向(水分摂取が少ない、利尿剤の使用)

喫煙者

家族にVTEの既往がある(家族歴)

過去になったことある人、寝たきりの人、活動性のがんのある人はリスクがかなり高いです。長時間の座位、つまりエコノミークラス症候群に相当するものは中等度のリスクとなっています。

僕は30代のがん患者さんが病院受診から帰宅する時に駐車場で息が苦し苦なり、再受診して調べたら肺塞栓症だったという経験があります😳

他にも20代と若い年齢でも扁桃周囲膿瘍で敗血症になり人工呼吸器管理で動けない状態が数日続いた患者さんが深部静脈血栓症だったこともあります。

普通の人でも条件が揃うと発症してしまうので気をつけないといけません。リスク因子の中でも肥満や喫煙、脱水などは自分で解決可能なので当てはまっている方は気をつけてください😱

肥満や喫煙を解決したいという人はこちらも参考にしてください。健康を維持するために絶対にすべきこと1選! メタボ(肥満)になるな!

エコノミークラス症候群を予防する方法3選

2025年改訂版の肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドラインに記載されている静脈血栓塞栓症の予防方法は早期歩行及び積極的な運動、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法(下肢を間欠的に圧迫する機器)、抗凝固薬が挙げられています。

要するに血栓予防は足を動かして、静脈を適度に圧迫して(ホースの先をキュッと絞ると水の勢いが増すイメージ)、それに加えてリスクが高ければ薬で溶かすということになります。

ホースで水をまく人のイラスト(男性)

これらを踏まえて飛行機や長距離移動時に生じるエコノミークラス症候群を予防する方法をご紹介したいと思います。

ストレッチ

運動はとても大切で血栓予防の基本です。歩行や足関節運動は筋肉によるポンプ機能を活性化させることで静脈の鬱滞(血流停滞)を防ぎます。

座ったままでも出来る運動では足首の曲げ伸ばし、踵つま先上げ、ふくらはぎのマッサージなどがあり、30分に1回程度行うようにしましょう✌️足を組むと静脈が圧迫され血流が悪くなり血栓が出来やすくなるので注意してください⚠️

最低でも2-3時間に1回は立ち上がって伸びをした方が血栓予防になるので是非行ってください。

水分補給

飛行機の機内は湿度10〜20%程度と低く、知らないうちに脱水が進行します。また車や飛行機ではトイレに行きたくない、近くなるから水分をあまり取りたくない!という人がいます。脱水になると血管内の粘度が上がりドロドロな状態で血栓ができやすくなってしまいます😨

またトイレに行きたくないからというのは逆効果でトイレに行く際に立ち上がることで足を動かす機会になるので水分摂取と合わせて血栓予防効果が二重に得られます。

しかしお酒やカフェインを含んだコーヒー紅茶などは利尿作用により脱水になってしまうので控えましょう😳

血栓予防には1時間あたりコップ1杯程度はコンスタントに水分摂取したいところです!

弾性ストッキング

弾性ストッキングは下肢を圧迫することで静脈の総断面積を減少させることにより血流速度を増加させ、血液の渋滞を防ぎ静脈血栓症を予防することが出来ます。実際に弾性ストッキングによる予防が開始されてから周術期の肺塞栓症がほぼ半減したというデータもあり、エコノミークラス症候群の予防にもなると思います!

弾性ストッキングのイラスト

医療用でも3000円から5000円なので血栓が心配な人は長距離旅行の前には購入を検討すると良いでしょう😊

医師に相談すべき人

最後にリスクが高い人は旅行前に医師に相談することをお勧めします。具体的には過去に静脈血栓塞栓症になったことがある人、妊娠出産直後、ピルを飲んでいる人、がんの治療中、骨折の術後であまり動けていない人、高齢・肥満・喫煙者の三拍子などが揃っている人は事前に医師に相談した方がいいと思います😳

学校に行くのに教科書を持って行かない人、海外に行くのにパスポートを持って行かない人、外食するのにお金を準備していない人いないですよね??

リスクがあるのに丸腰で長距離移動に立ち向かうのはエコノミークラス症候群を発症しても文句は言えないと思います。

リスクがないからといって何も対策するのとしないのでは大違いなので、皆さんも自分の体は自分で守るようにしましょうね✌️

それでは今日はこの辺で!またお会いしましょう😊

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