怪我した時に消毒は必要?

健康

皆さんこんにちは、名もなき医師です🧑‍⚕️

今回は怪我した時に消毒が必要かというテーマについて書きたいと思います。というのも僕の実家では子供の頃怪我をした時に消毒をするというのがルーティンでした。

スポーツで怪我をした人のイラスト

消毒が当たり前だった昔と比較して現代医学では消毒の場面は限られてきています。昔と今では何が違うのでしょうか?😳早速見ていきましょう✨

昔はなぜ消毒が当たり前だった?

消毒の目的は傷からの感染を抑えることです。敗血症という病名はとても有名ですよね😳

昔は戦地などで兵隊が傷を負うことが多かったのです。そういった傷は洗うこともできず泥まみれだったことで、抗菌薬のない時代は傷から感染して敗血症になり死んでしまう人が多かったのです🙄

そこからとにかく消毒!という文化が根付いてしまったのです。消毒をするとしゅわしゅわして傷が痛みます。痛い分効いている感がでるんですよね🤣

患者はおろか、医師でさへ傷に対しては「乾かして消毒で殺菌して」というのが標準治療だったわけです。ちなみに今でも古い考えの先生は傷には消毒🦠を行っているかもしれません🫢

なぜ消毒を必要としなくなった?

2010年頃から消毒しない治療が医療現場で一般化し始めました。消毒せず乾かさず、傷の湿潤環境を保つことで自然治癒を促すという方にシフトしていきます。

2015年の形成外科診療ガイドラインの急性創傷の項目にも

切創、裂創、擦過創、刺創、異物創に対して消毒は必要か?というクリニカルクエスチョンに

創傷部に消毒薬の使用は必ずしも必要ではない

となっています。

解説部分を要約すると

感染予防を目的とした創傷内の消毒は行わない

理由は消毒薬には組織毒性があり、正常組織を傷つけて逆に感染を引き起こす可能性がある

周囲の健常組織に消毒をするのはいいけど、水道水で流した時と比べて感染率を下げることはない

つまり普通に怪我して病院に行くほどでもない時は

水道水で洗うだけで充分なのです‼️

傷を洗う人のイラスト

2021年に更新されたガイドラインでもこれは変わっていません。

消毒は菌を殺すだけでなく自分の正常な組織もやっつけてしまいます。さらに感染率を下げるわけでもない、というのが研究によって明らかになってきたので消毒は活躍する場が限られてきているのです😌

しかし文化というのは根深いもので『水道水で洗っておけば治りますよ!』と言っても患者さんの中には消毒しなくて大丈夫か心配される人がたくさんいます。

これも感覚的にはなんとなくわかりますけどね

病院にきたのに消毒もせずに水道水で洗うだけ?ってことですよね?🤣

消毒が痛いのは正常組織が反応して痛みを感じているのです。効いている感はあるかもしれませんが水道水と比べて効果があるわけではないのです‼️

消毒が必要な傷は?

では消毒は今の時代必要亡くなってしまったのでしょうか?昔よりは確実に出番が減っている消毒ですが今でも必要な場面はあります。

動物咬傷

動物の口内には菌が存在するので深いところにまで菌が侵入します。特に猫による咬傷は歯が鋭く菌が奥深くに入り込む可能性があります。

動物咬傷においても消毒が細菌感染率を低下させるというエビデンスはなく、むしろ推奨されていません。

創部洗浄はグレードBですのでこちらの方が優先度が高いですね😌

ただし狂犬病が危惧される場合には消毒を行うことがあります‼️

切断創

あまりエビデンスのないところではありますが保存的治療において、ポピドンヨード製剤の使用を考慮しても良い。(グレードC1)となっています。

創部洗浄はグレードBなので洗浄の有効性の方が高いです。

実際に切断創は汚いことも多いので正常組織への毒性があっても消毒を行うことがあります。

ちなみに暴力団関係の方で小指を落として搬送されてくる方もいますが、そういう方は再接着は希望されませんね😳やっぱり繋げてしまうとケジメにならないのでしょうか🤔

免疫不全者

実臨床の現場では感染症になるのは免疫が弱者の割合がとても高いです。

例えば糖尿病、維持透析、喫煙している方々は感染症にかかりやすいです。開放骨折などは感染リスクが高くなるのですがそれでも背景に感染しやすい病気を持っている人はやっぱり感染症になってしまう可能性が高いです😥

なので免疫が弱い人には例外的に消毒薬を使用する場合があります。

消毒の正しい使い方は?

先程から申し上げている通り消毒には殺菌効果と共に健常な細胞にもダメージを与えます。水で洗い流す方が現代の医学では基本的に推奨されています。

傷の周りに消毒する

皮膚には常在菌といって人の皮膚には菌が存在します。そこから菌が傷に入って感染するというのがよくある感染の流れなので、消毒は傷の周りの皮膚に行ってください。

これなら傷の中の組織へのダメージを防ぐことができます。

30〜60秒で洗い流す

組織の中に菌が入ってしまった場合は消毒をしますが、その場合まずはよく水で洗い流してください。これが大事です‼️

その後消毒をして30〜60秒程で洗い流します。これにより殺菌効果を得つつ、組織へのダメージを最小限に抑えることが出来ます。

しかし基本的には消毒を必要とするような傷は病院に受診されると思いますので、御家庭では消毒薬は必要ないです😌

まとめ

今回は消毒の必要性について述べました。昔ほどではないですが今でも使う場面はありますし、手術の時にもまず消毒をして感染率を下げるように使用しています。

しかし御家庭で対応出来るような傷は感染率が低いですし、水道水で洗い流すだけで充分です。むしろ消毒で正常な組織が傷んでしまうのでご参考になれば幸いです✌️

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