こんにちは、名もなき医師です🧑⚕️運動習慣がある人はテロメアが長いから老化や病気の防止、長寿に関わっているという研究が多数あります。
運動習慣があると健康に良いという漠然としたイメージは皆さんお持ちだと思いますが、なぜ運動習慣があると健康に良いのか説明が出来る人は少ないのではないでしょうか?
「テロメアって何?」「どういうメカニズム?」「どんな運動がいいの?」などなど様々な疑問があると思います😳
今からわかりやすく解説していきますので一緒に見ていきましょう!
テロメアとは?
テロメアってなんなんだ?という方が大半だと思いますが、テロメアとは下の図のように染色体の末端に存在する構造で細胞分裂の際に染色体の末端を保護する役割を持っています。
このテロメアは細胞が分裂する度に短くなり、ある一定の長さを下回ると細胞分裂が停止し、細胞老化や細胞死につながると考えられています🤔
テロメアが短くなると老化が進行したり、加齢に伴う疾患(動脈硬化、がん、心疾患)の発症率が上昇したりすることがわかっています。
そして運動習慣がある人はこのテロメアが長いという研究結果が多数あるのです✨
Brigham Young Universityの研究(2017年)
運動習慣がある人とない人ではどれくらいテロメアの長さが違うのかという研究をご紹介しておきます。
ブリンガムヤング大学の研究で、5823人の成人を対象とし、高頻度運動群(1日最低30分以上のジョギングを週に5日)と非運動群とを比較した研究があります。
血液中の白血球のテロメアの長さを比較しているのですが、高頻度運動群は非運動群に比べて約9歳分若い人と同等のテロメア長だったのです😳
ちなみに白血球の働きは免疫応答や感染症などで体内に炎症が起きた時にも活躍してくれます。
簡単にいうとよく動く人はそうでない人と比べて、細胞レベルで約9年も老化が遅れるという結果だったのです。
運動する人のテロメアが長い理由
なぜ運動がテロメアの短縮を遅らせるのでしょうか?😳

運動をするとNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の濃度が増加し、SIRT1やSIRT6といった酵素が活性化されます。
SIRT1やSIRT6はテロメアの保護・安定化に関わっているのです✨
またSIRT1はテロメラーゼというテロメアを修復する酵素を活性化したりします!
こういった機序で運動習慣のある人はテロメアの短縮がしない人と比べてゆっくりになるのです。
テロメアが長いその他の説
他にも運動によりテロメアの長さが保てる説はあります。
運動により抗酸化酵素が増えることによる酸化ストレスの抑制、慢性炎症の抑制、総合的なストレス軽減による老化スピードの低下など言われています😳
色々言われていますが今のところ運動する人のテロメアが長いことは科学的に正しく、細胞レベルで若さを保てることには違いないですね😌
理想の運動強度は?
ではいったいどれくらいの強度で運動を行えばいいのでしょうか?😳
先程のブリンガムヤング大学の研究でよく運動する群は1日最低30分以上のランニングを週5回以上という中々ハードルが高いものでした。
そこまでは厳しい!という人も多いですよね?
1日5分のランニングでも効果あり⁉︎
アメリカの約5万5000人のある追跡調査で1日たった5分〜10分程度のランニングをする人々は全死亡リスクが約3割、心血管死亡リスクが約4割も減少していたのです😳✨(Lee et al., 2014 (Journal of the American College of Cardiology)
この研究はテロメアの長さについて調べたものではありませんが、1日たった5分10分のランニングでも身体に良い影響を及ぼすことは間違いありません‼️

一回の時間は短くても毎日続けていると健康寿命に大きな差が生まれます💪
毎日少しずつで良いので運動する習慣を身につけましょう。
どれくらいの運動強度が必要か?
ではついに気になる理想の運動強度です!5分のランニングでもジョギング程度の速さでいいのか、全力疾走するのかで身体への負担は大きく異なりますよね?😌
健康を増進する遺伝子を最も活性化するのは「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」です✨
HIITってなんだ?🤔という読者もいると思いますので解説しておきます。HIITは高強度の運動を短時間行い、軽い運動や休息を挟んで繰り返すトレーニング方法です。

ランニングでいえばダッシュ30秒程度、ゆっくりジョギングor歩行90秒程度、これを合計20分程度の運動になるように10セットくらい繰り返すと良いでしょう!
例えば僕の場合は距離で設定していて1kmを全力疾走の90%で走り、300〜400m程度ジョギングや歩行といった具合で取り入れています。
人それぞれやり方は違っていて良いのですが、目安は呼吸が深く速くなり、最大心拍数の70〜85%、一息つかないと二言三言しか話せないといったところです。ちなみに最大心拍数はおおよそ220回/分から自分の年齢を引いた数です。
例えば20歳の人なら目標は(220ー20)X0.7-0.85=150〜175回/分がHIITの目標心拍数です。
HIIT(High-Intensity Interval Training)による効果
HIITによるメリットは様々あります。脂肪燃焼効果、心肺機能の向上、インスリン感受性の改善(2型糖尿病の予防・改善)等々です。
そして運動によって数々の長寿遺伝子がプラスの方向に調節され、テロメアが伸びて細胞に酸素を運ぶ小さい血管が出来るのです✌️
高齢になると血管が動脈硬化したり、石灰化したりして手足の細い血管が詰まってしまうことがあります。しかしHIITのような運動を常日頃から取り入れている人は毛細血管が発達しているので例え一つの血管が詰まったとしても別の血管から栄養を送ることができます😄
ではデメリットはないのでしょうか?
元々糖尿病や高血圧のある人は急激な運動で負荷がかかり身体に悪影響を及ぼす恐れがありますので医師に相談してコントロールをしてからにしましょう!
また高強度な運動ですのでいきなり行ってしまうとアキレス腱断裂や筋挫傷(肉離れ)のリスクが上がります😱
HIITを行う際はきちんと準備運動をしてきちんと水分も補給するようにしてくださいね🎶
まとめ
今回は運動習慣のある人はテロメアが長く若さを保ちやすいという話をしました。少し難しかったかもしれませんが、なぜ運動習慣のある人が若く見えるのかということをミクロのレベルで解説したので面白いと思って頂けたら嬉しいです。
若さを保ち、そして病気も予防出来るという一石二鳥の効果が得られるHIITを皆さんも是非日常生活に取り入れてみてください😆
本記事の内容は医療専門職としての知見に基づいていますが、すべての読者に当てはまるわけではありません。個別の診断や治療は、直接の診察に基づいて行われるべきです。
名もなき医師:日本救急医学会専門医 現在は整形外科に所属し救急と両立しながら奮闘中🔥
所属学会:日本救急医学会 日本整形外科学会 日本整形外傷学会
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